「いのち輝く未来の木」に託された想い
来場いただいた方々に、認知症の方々と共に暮らす未来社会を実現する ためにできること・やりたいことや、未来像について葉っぱシートに書いていただきました。最終的に 914 ものコメントをいただき、あらかじめ用意していた木が思いを載せた葉っぱでいっぱいになり、展示会場全体が埋め尽くされるほどの成果が得られました。


914 のコメントの内容を分析すると、図のAからFに 示すように大きく6つに分類することができました。
「A. 展示から得た気づきや学び」では、心に寄り添い、 その人らしさや役割を尊重するモンテッソーリケアの 考え方に共感する意見や、遠隔で見守りができたり、心と体の状態がわかるデジタルツイン技術に対する大きな期待を寄せていただきました。
「B.今から行動すること」として、今回得た学びをもとに、ケアや地域のあり方を変えていきたいとの強い意志や、自分のみならず身の回りの家族や知人も同様に自分らしく生きられるような配慮をしたいとの思いも伝えていただきました。また、医療関係者や介護士など専門の方々に、学びを仕事に役立てたいと言っていただいたことは、私たちの展示が看護・介護の現場に直接貢献するものであることを確認する貴重な機会となりました。
「C.ありたい未来社会」については、認知症への理解が浸透し、多様な人々が安心して暮らせる社会、多様な人々がそれぞれの役割を持ち、自分らしく暮らせる社会、認知症の人々や家族にとって安心できる制度や仕組みの実現などの提案をいただきました。
また、「D. 自分自身や家族・知人が認知症になったら望むこと」については、穏やかで自分らしくいたい、触れ合いを大切にしたいという思いのほか、認知症の人への感謝の気持ちや思い出を大切にしたいといったコメントを書いていただきました。
「E.期待する科学技術」では、新しい薬や医療技術のほか、見守り、会話、認知症の診断などに有効なICTやAI技術の進歩にも期待が寄せられました。これらの科学技術を生かすための人や社会の力が大切であるとの意見もいただきました。 以上のように、来場者の多くの方々が今回の展示を通して認知症を受けとめ、自身の行動や社会のイメージを前向きに捉えていただいたことや、「新しい認知症観」の醸成の可能性を実感することができました。

「新しい認知症観」の追求とその普及に向けて
F. 課題のコメントにもあるように、日々の暮らしの中 で、認知症への不安や介護の厳しさを感じている方々 が多くおられると思います。一方で、来場者から、認知症に対する不安がなくなり希望を持つことができた との感想をいただくとともに、私たちのケアの普及に 大きな期待の声を寄せていただきました。モンテッ ソーリケアとデジタルツインによる介護は、認知症の 方・家族・地域の人々・施設関係者・技術者が「場づ くり」によるひとつながりのチームとなり、認知症の 方が生き生きとし穏やかとなることで、介護の負担が 大きく軽減されるものです。このような助けられる側・ 助ける側の立場をこえた「場づくり」は皆が気づき や学びを得て、お互いの心を成長させるものでもある のです。ICT や AI は、単に介護作業を便利にするも のではなく、「場づくり」のプロセスを経て、チーム やコミュニティに物語を生み出すものでなければなりません。
私たちはこれを社会に広げるために、他の介護施設や 企業のコンサルティングと人材育成を積極的に進めるとともに、国・自治体と連携し、真に心を豊かにする ケアの評価方法や、これに対応する補助金制度などの 抜本的な改革に向けた活動を強化します。
また、私たちは柴原モカメゾンをリビングラボとして持続させながら、モンテッソーリケア国際資格取得セミ ナー、哲学カフェ、「もかの会」(日本モンテッソーリケ ア協会が毎月オンラインで開催)、講演会などをさらに広 く社会に開き、認知症の分野をこえて、お互いを尊重し、ともに成長するケアが、私たちの日々の暮らしを豊かにする基本的な考え方 であることを、皆様とともに実感していきたいと思います。
「場」とは、ある空間や環境を良くしたいと思う人々が、 お互いの立場や意見を尊重し、人のつながりや共に支え 合うことの大切さに共感し合う時に空間に生まれる価値 観であり、それを将来にわたり発展させようとする働きのことを指します。葉っぱシートに寄せていただいたコ メントから、たとえつらいことがあったとしても、認知 症を受け入れ、前向きになにか大切なことを見出そうと する人々の想いが共感し合うことで、「未来の輝く木」が「場」そのものになっていることに気がつきました。
このように、皆様から「未来の輝く木」へ託された想い を「新しい認知症観(しあわせを呼ぶ認知症)」とし、これに賛同し未来を一緒に創っていただける方々のネット ワークを広げながら、ともに活動を推進して参ります。
引き続きご支援の程、よろしくお願い致します。
大阪大学大学院工学研究科 木多研究室 https://www.osakau-arch-labo3.com/
NEC Beyond 5G ウェブサイト https://jpn.nec.com/nsp/5g/beyond5g/
NEC Beyond 5G協働研究所 https://b5g.ist.osaka-u.ac.jp/
NEC 大阪・関西万博特設サイト https://jpn.nec.com/ad/expo2025/
日本モンテッソーリケア協会 https://www.montessoricarejapan.com/
大阪・関西万博 フューチャーライフエクスペリエンスhttps://www.expo2025.or.jp/future-index/future-life/flv/



